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短所:波に伴う水圧変動は深さと共に指数関数的に減少するので水圧計は深い程よいが、ブイの上下運動と水圧計の上下運動の連動性が悪くなる。通常は50〜70mの水深が用いられており、周期約8秒以上の波については波に伴う水圧変動の補正が必要となる。

(3) 船舶用波高計

原理:固定プラットフォームで用いる波高計を船体に取り付け、船体に相対的な水位変動を計測し、同時に船体に取り付けた鉛直加速度計からの信号を2回積分して船体の上下運動を求め、これらを加え合わせて波高を知る。

長所:全ての機器が1ヶ所にあるので情報が失われることが殆どなく、また中、小型船舶で移動し頻繁に停船観測ができて効率がよい。また、暴風中でも観測を継続できる。

短所:計測時に船を停止させねばならないということから、わが国では気象庁と海上保安庁の観測船でしか行えない。航走中の船舶で波浪を観測できるように船体の動揺から波浪を推定するシステムが開発され多くの実験でこの有用性が確かめられているので今後次第に広く使われるようになるであろう。

 

1.1.3 海面の上方からの測定

長所:精度がよく、維持管理が容易で暴風や高波によって損傷を受けることが殆どない。

短所:計測器が設置されている構造物の影響を受け易く、構造物の脚の半径の10倍以上の距離の波を計測する必要がある。

現在用いられているものにレーダーまたはレーザーで水面を下向きに見て水面の昇降を計測している。

 

以上、磯崎の資料(1)を基に波高計を主に述べたが、波向計や流速計も重要は計器である。これには超音波流速計型波向計、電磁流速計型波向計および抵抗歪線型波向計などがある。この他、陸上から高分解能レーダーによって海面のエコーを受信し、波峰線の分布方向を測定する方法により波向観測が行われている。また、2台の波高計のデータから波向の算定をする方法もある。

 

1.1.4 リモートセンシング

普通に用いている波高計は海面上のある一点における水位の時間的変化を、ある時間間隔について記録し、その時間間隔内の波浪状態を統計学的に推定するようになっている。リモートセンシングでは、ある時刻におけるある面積内の空間平均の波浪状態を測定する。この面積は、人工衛星からのリモートセンシングでは通常は数kmのオーダーである。(合成開口レーダーでは数10mの空間分解能が得られているが、莫大な計算時間を要するほか後述する理由から業務的には利用できない。)一方、沿岸域及び浅海域では、波の場が数100mの距離で大きく変化することがあるので、このような海域

 

 

 

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